子育て歴が10年を超え、思い返せば反省ばかり…
「誰もが子育て初心者」であるというのが親の世界観だと言われますが、分かっていても考えてしまうのが
「自分の育て方は、これで合っているのだろうか」
という正解探し。
恥ずかしながら、その裏側には「大丈夫だよ。あなたの子育ては間違ってなどいない。」と言ってほしいという気持ちが隠れているのですが…
もちろん、言うまでもなく「正解なんて存在しない」のが子育てです。
ということで、本記事では、その問いを作り替えることから始めましょう。
昔から「子育て」については、多くの神話が生まれてきました。
その一つとして「子どもの性格や進路は、親の努力によって形づくれる」というのは代表的。
失敗できない感の強い子育てにおいて、親心が相まってどうしても正解探しをしてしまう私たちは、子育てを成功させようと、いわゆる子育てハウツーを求めてしまう。
しかし、ハウツーをそのまま実行しても思った通りにならないから、新たなハウツー本が生まれてくるのです。

科学的に見ていくと、行動遺伝学の双子・養子研究によれば、性格はおおむね四〇〜五〇%が遺伝で説明されます。
そして、より重要なのは――「同じ親のもと、同じ家庭で育つこと(共有環境)」が、成人の性格に与える影響はほぼゼロに近い、という、何度も再現されてきた発見です。
それよりも性格に影響するのは、同じ家庭の中でも子ども一人ひとりが別々に経験する「非共有環境」と確認されています。
つまり、親が同じやり方で同じように関わる(あくまでも親の主観ですが)こと自体は、子の人格を決める主役ではないのです。

このような事実は「親にできることは何もない」という話ではありません。
むしろ逆なのです。心理学者サンドラ・スカーとキャサリン・マッカートニーは一九八三年、「子どもは、自分の素質に合った環境を自ら引き寄せ、選び取っていく(能動的な遺伝環境相関)」と論じました。
だとすれば、親にできることは、子どもを「型にはめる」ことではなく、その子がすでに出している小さな信号を察知し、それに合う環境を整え増幅することなのです。
子どもの性格を思い通りに作ることはできません。しかし、性格特性に適した環境に身を置けるよう橋を架けることはできるのです。この考え方こそが、このマガジンに情報を投入していくニッチ・ピッキングなのです。

これからお伝えする情報は「天才の育て方」でも、コピペで使える成功の処方箋でもありません。
私たちが抱きがちな子育て神話が、もしかしたら正しくないかもしれないという土台に立ち、何ができるのかを問い直すものです。
しかし、下記マガジン内にて扱ういわゆる成功者の評伝は、分かりやすく魅力的なのですが、いずれも「成功した人だけを後から振り返った」生存者バイアスになるということは否めません。
そのような構造的な弱点を抱えていることは常に意識していかなければなりません。
そのようなバイアスに紛れつつも、子供の尖った個性に合わせて大人が環境設定を提供してきた事例を集め、そこに規則性を見つける取り組みは、持ち合わせた特性の価値や、その可能性を見過ごされがちな子供たちに精度高く選択肢を提供するという意味では、大変有意義なものとなるはずです。
👇こちらのマガジンに情報を追加していきますので、読んでみてくださいね。
本稿で参照した主な出典
- 行動遺伝学で再現性の高い知見(解説)
- 性格の遺伝に関するレビュー(PMC)
- Scarr, S., & McCartney, K. (1983). Child Development, 54(2), 424–435.
- Macnamara, B. N., Hambrick, D. Z., & Oswald, F. L. (2014). Psychological Science, 25(8), 1608–1618.
- Credé, M., Tynan, M. C., & Harms, P. D. (2017). Journal of Personality and Social Psychology, 113(3), 492–511.
- Glass, J., Simon, R. W., & Andersson, M. A. (2016). American Journal of Sociology.

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