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本音を引き出す5つの原則

ご存知の通り、教師という仕事は、ほぼほぼコミュニケーションで成り立っています。

職業選択に”その人らしさ”が関係しているとしたら、教師はきっと、ビック5でいうところの「外向性高め」の人たちが集まるのではないかと予想されます。

教え導くためだけでなく、関係性を深めるためにも必須である「話すこと」ですが、それをスキルとして真剣に考える機会はそれほど多くないかもしれません。

しかし、子ども・保護者と良好な関係を築きたいのであれば、「話すこと」のスキルが高いに越したことはないのは言わずもがな。

ということで、スキルを高めるためのポイントを5つにしぼってまとめました。

「子どもが全然話をしてくれない」
「何度話し合っても平行線のまま……」

そんな困り感に覚えがあるのなら、これから紹介する5つのポイントを意識して実行することで、多少なりメリットを得ることができるでしょう。

ぜひとも、読み流してみてくださいね。


スキル発動前の環境づくり

コミュニケーションを学ぼうとすると、「どう切り出すか」「どんな質問をするか」といった「話し方のテクニック」に目が向きがち。

もちろん、それらも大切ですが、もっと根本的な問題があるのですよね。

それは、話し合う前の「空気感」や「関係性の質」です。

想像してみてください。

もしあなたが、自分のことを「否定しようとしている人」や「コントロールしようとしている人」を前にしたとき、素直に本音を話そうと思えるでしょうか?

きっと、無意識に自分を守るための心の鎧を身にまとうはず。

大人でさえ自分の主張を批判されると、脳内で警報が鳴り響き、闘争・逃走本能に火がつきます。

「闘争」優位になれば、相手の主張ではなく「批判した人」に向かって反撃を考えるでしょうし、「逃走」優位の人は、本音をぐっと飲み込んで話し合うことさえもスルーするかもしれません。

もちろん、意見に対する批判が悪いという訳ではありません。

主張に対して多角的・多面的に意見交流が行われるということは、批判的な内容が出されるのは健全なこと。

だからこそ、相手の本音を引き出したいのであれば、まずは心の鎧を脱いでもらう必要があるのです。

そのために意識したいのは「スタートのトーン」でございます。

人間には、無意識に相手の出方や感情に自分のトーンを合わせてしまうという特性があります。

相手が怒鳴り散らしてきたらこちらも攻撃的になりますし、相手が悲しみを振りまいてきたら、こちらの気持ちも下がります。

このような特性を知っていれば、相手に対して何かしらの苦言を呈すという目的でも、厳しくオラついても相手に反省の心をもたせられるとは限らないことが分かりますよね。

僕自身も覚えがありますが、トラブル情報を聞きつけて怒りのエネルギーをまとってスタートを切ると、相手は瞬時に「敵が現れた!」と認識し、「闘争・逃走反応」全開で出迎えます。

このような怒りの琴線に無暗に触れることなく本音を聞き出したい時ほど、意識的に「落ち着いたトーン」でスタートを切ることは、話合いの環境調整に不可欠です。

ここからは余談ですが、人間にそれぞれ個性があるように、感情の伝わり方にも個性があると言われています。

「感情の慣性」に優れている人、いわゆる他者から「落ち着いているよね」と見られている人は、周囲の温度感に振り回されることなく、常に一定の感情を保っているように見えます。

このような人が、話合いの相手だったりグループ内に存在していると、自然と話合いが落ち着くと言われています。

というのも、高刺激の相手に対して同じような高刺激で返すと、さらに相手がヒートアップ…

いつの間にか、誰も収集つかない状態になってしまうもの。

取り乱している相手に「まずは、落ち着けよ…」と声をかけたくなるのは、「この人の感情についていくと大変なことになるぞ」という防衛反応なのかもしれません。

この根拠から「激昂している妻とリアクション薄めの夫」というドラマにありがちモデルは、現実的な夫婦としては長期的な関係が続く理想なのかもしれません。

ちなみに、相手の口撃によって生理的機能(脈拍とか汗腺など)が影響を受けるレベルになると、関係性継続は不可能になるという調査もありますので、お気をつけください。

本音を引き出す『5つの原則』

話題が大分逸れましたが、ここからは、「5つの原則」を深掘りしていきましょう。

1. 繋がりを築く(ラポール)

まず1つ目は、「日頃からの繋がり(ラポール)」です。

人間にとって「自分の本当の気持ちを話す」というのは、実は非常に勇気がいる、ハードルの高い行為です。

「こんなことを言ったら否定されるんじゃないか?」
「変な人だと思われて、嫌われるんじゃないか?」

そんな不安が常に付きまといます。

話し合いの場になってから、急に「さあ、本当のことを言ってごらん」と言っても、信頼関係の構築という過程がなければ、相手は口を割りません。

大切なのは、何でもない日常の中でのやり取りなのです。

「おはよう」という挨拶や、ちょっとした雑談。

相手が困っている時にさりげなく助けるといった、小さな「信頼の貯金」を積み重ねておくことが大切。

「この人は、自分のことをちゃんと見てくれている」
「この人は、自分の話を最後まで聞いてくれるカテゴリーの人だ」

そう思ってもらえる関係性を日頃から築いておくことが、全ての土台となります。

勝負は、話合いの席に着く前からすでに始まっているのです。

2. 個人的な感情を捨てる

2つ目は、「個人的な感情を挟まない」ことです。

特に、教師や親、上司といった「アドバイスをする立場」にいる人は、相手への思いがあるからこそ、感情が邪魔をすることがあります。

「この子を正しく導かなければならない」
「その考え方は間違っていると教えなければならない」

しかし、これらはあくまで「こちらの都合」であり「個人的な正義感」です。

「指導しよう」「変えてやろう」という意図が透けて見えると、相手は「操作されている」と感じ、反発心を抱きます。

昔々、小6の教科書に掲載されていて「カレーライス」の主人公である「ひろし」も「分かっていることを言われるのが一番嫌なんだ」的なセリフを言っていましたよね。

「心理的リアクタンス」なんて反応に名前がついているくらい、僕たち人間は、何かしら相手から指示されると、理由もなく「ちょっとした反抗」をしてしまうものなのです。

だからこそ、教えることを一旦やめ、100%聴くことに徹しようではありませんか。

裁判官のように善悪を裁くのではなく、ただ目の前の人の言葉を、濁りなく受け止める。

個人的な感情を捨て去ってただただ聞くことで、あなたが「話をしてもいい人」カテゴリに入ることができるのです。

3. 相手の立場を肯定する

3つ目は、「相手の存在と感情を肯定する」ことです。

ここで勘違いしてはいけないのが、「肯定=同意」ではないということ。

相手の行動や価値観が、自分の倫理観や社会的なルールに反していることもあるでしょう。

それでも、相手が感じたことそのものは、否定できない事実です。

「それはダメだよ」と否定する前に、まずは「あなたはそう感じたんだね」と受け止める。

「そう思うに至った背景があるんだね」と、その存在を肯定する。

善悪の判断は、その後でも十分に間に合います。

人間は、肯定されることで「この人なら話をしてもいいかも」と少しずつ心を開いていきます。

そして、「これは、話しずらいな」という本音も外に出す余裕ができるのです。

4. 自分との違いに気づき、受け入れる

4つ目は、「自分とは別の人間であるという一線を引く」ことです。

コミュニケーションのトラブルの多くは、自分ならこうするのに」「普通はこう考えるはずだ」という「自分のものさし」を相手に当てはめることから起こります。

自分の基準で相手を測ると、どうしても「怠けている」「わかっていない」「おかしい」というマイナスの評価が生まれてしまいます。

「この人は、自分とは全く異なる価値観や、異なるバックグラウンドを持っているんだな」
「全く理解できないけれど、そうやって考える人なんだってことは分かる」

という前提に立ちましょう。

「自分ならこうする」という主観を捨て、「この人の目には世界がどう見えているんだろう?」と想像すること。

自分との違いを「間違い」として修正するのではなく、「特徴」として受け入れること。

この一線を引いた距離感こそが、冷静で建設的な対話を生む秘訣なのです。

5. 好奇心を持つ

そして5つ目、これが最も重要だと言っても過言ではありません。

それは、相手に対して「圧倒的な好奇心を持つ」ことです。

人は、自分に対して純粋な興味を持ってくれる人には、もっと話したくなるものです。

尋問のような「なぜ?」ではなく、探検家が未知の土地を調査するようなワクワクした「なぜ?」を持ってください。

「どうしてそんな風に考えたんだろう?」
「どんな経験をしたら、そんな考え方になるんだろう?」
「もっとこの人の奥深くを知ってみたい!」

たとえ理解しがたい言動であっても、「理解できない、困った人だ」と片付けるのではなく、面白い、もっと深掘りしてみよう!」と頭の中で書き換えてみるのです。

あなたの「知りたい」という前向きな好奇心は、必ず表情や声のトーンに乗って相手に伝わります。

その熱量が、相手の心の扉を内側から開ける最高の鍵になるのです。


コミュニケーションスキルは一生モノ

日本は「言わなくても察してほしい」という「ハイコンテクスト」な文化が根付いています。

それは、空気を読むという美徳でもありますが、やはり大切な局面では、言葉にして伝え、相手の言葉を丁寧に受け取ることが欠かせません。

長年連れ添った夫婦を対象にした実験であっても、「相手の気持ちを的確に充てられる確率は50%ほど」という結果も出ています。

僕たち人間は、「分からない」という未知の状態をそのままにしておくのがとっても苦手。

だからこそ、「分からない」という相手の気持ちを、表情や言動、過去の経験値等々を駆使して、「分かったつもり」になって安心する。

しかし、その「作り出した相手の気持ち」が、本当に正解かどうかは、聞いてみないと分からないのです。

そんな五分五分の戦いを常に挑むのではなく、本気で関係性を深めたいのであれば、やはり膝を突き合わせた話合いが必須であり、その精度を上げるために、本記事で紹介したスキルが役立つのです。

  1. ラポールを築く(日頃の信頼貯金)
  2. 個人的感情を捨てる(指導より傾聴)
  3. 相手を肯定する(存在の全承認)
  4. 違いを受け入れる(自分と相手を切り離す)
  5. 好奇心を持つ(「知りたい」というワクワク感)

これらは、子ども・保護者だけでなく、あなたの人生における大切なパートナーに対しても、そして自分自身に対しても使える「一生モノの技術」です。

ぜひぜひ、日ごろの会話からスキルに磨きをかけてくださいね。

📘参考本
#CONFLICTED


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