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信頼を勝ち取り、頼み事を成功させるための3ステップ

日々忙しくしていると、ついつい自分を見失いがちになってしまいます。

ある意味「充実している」とも取れますが、さすがに体力の限界ぎりぎりを一生涯続けていくのはそれなりの危険を伴うもの。

そんな限界地獄から抜け出す方法の一つとして「仲間の力を借りる」というのは見過ごせません。

しかし、誰しも気軽に声をかけられる訳ではないでしょう。

「こんなこと頼んだら迷惑かな」
「みんな忙しそうだから、自分のことは自分でやらないと」
「そもそも、断られたらどうしよう」

という思考が頭をかけ巡り、「やっぱりやめておこう」と諦めることもあるのではないでしょうか。

しかし、ある研究では「人間関係を深めるためには協働作業が必須である」ことが確認されており、さらに 「人は頼み事をしてきた人に対して好感をもつこと」が、 分かっているのです。

これらの研究が示していることは、

「頼み事によって作業効率が上がるだけでなく、人間関係までも深まる」

という、大変ありがたいメッセージ。

コミュ障だからと頼み事を諦めるのは、忙しさの享受だけでなく人間関係の芽を摘む選択に他なりません。

本記事では、自分時間の確保だけでなく、人間関係の充実までも狙えてしまう 「頼み方の流儀」をまとめました。

テクニックというよりは メンタルブロックの外し方のような内容となっておりますが、何かしらのお役に立てると思いますので、ぜひとも、さくっと読んでみてくださいね。

【そもそも論】なぜ「頼み事」が人間関係を深めるのか?

本題に入る前に少し立ち止まり、「そもそも、なぜ頼み事が人間関係に効くのか」を確認しておきましょう。

その答えを端的に表しているのが、「ベン・フランクリン効果」という心理現象です。

アメリカ建国の父として知られるベンジャミン・フランクリンは、自分を敵視しているある議員と仲良くなりたいと考えました。

そこで彼がとった作戦は、「菓子折りを持っていく」でも「食事に誘う」でもなく、「その議員が持っている希少な本を貸してほしいとお願いする」というものでした。

頼まれた議員は本を貸し、フランクリンはお礼の手紙を添えて返却。

するとその後、議員はフランクリンに話しかけてくるようになり、2人は生涯の友人となったのです。

「本を借りただけで?」と思いますよね。

これを心理学的に説明したのが、1969年にジョン・ジェッカーとデビッド・ランディが行った実験です。

実験では、参加者をいくつかのグループに分けて「知的ゲーム」に参加させ、報酬を渡しました。

その後、一部のグループに実験者が近づいて、「実は自分のお金でやっていたので、申し訳ないが返してほしい」とお願いしたのです。

後日、参加者に「実験者への好感度」を評価してもらうと、お金を返すよう頼まれたグループの方が、そうでないグループより実験者を高く評価したという結果が出ました。

人間の脳には、「自分が何かをしてあげた相手は、好きに違いない」と自動的に認知を書き換える仕組みがあるのです。

言い換えると、頼み事をされたことで、

「この人のために動いた自分」を正当化するために、相手への好意を高める

というメカニズムが働くわけです。

つまり、「頼み事をする」とは、相手に「あなたを好きになる理由」を作ってもらうという、ある意味で究極の人間関係戦略なのです。

さらに、イギリスの人類学者ロビン・ダンバーの研究によると、人間の絆を深める上で「一緒に何かをやり遂げる経験(協働作業)」は非常に重要な役割を担っていることが分かっています。

ダンバーは笑いや食事、音楽といった「共に体験すること」が、脳内でβ-エンドルフィン(快楽・絆ホルモン)を放出させると報告しています。

頼み事がきっかけとなる「協働作業」は、まさにこの絆形成の回路を動かすスイッチとも言えるでしょう。

頼み事を成功させるまでの3ステップ

早速、本題の「頼み方の流儀」に入っていきましょう。

最初に話題としたいのは、「どうして頼み事を躊躇してしまうのか?」という疑問。

その理由は複数ありますが、あるある理由の一つが

「断られるのが不安・恥ずかしい」

という感覚ではないでしょうか。

でも、その感覚自体が、脳の錯覚であることを理解しておきましょう。

コーネル大学の心理学者トーマス・ギロビッチらが2000年に行ったおもしろい実験で、「目立つデザインのTシャツを着た学生」を教室に入らせ、「何人に気づかれたか」を予測してもらうというものがあります。

Tシャツを着た学生本人は「絶対みんな見てる……」と感じていましたが、

実際に気づいていた人は、本人の予測のおよそ半分以下

という結果だったのです。

この現象を「スポットライト効果」と呼びます。自分がスポットライトの下にいるように感じるのに、実際には誰もそこまで注目していない、という認知のズレです。

頼み事をして、仮に断られたとしても、あなたの長い人生において一点の汚点となり得ない。

そのことを、まずは脳に刷り込んでおきましょう。


【STEP①】「困っていることに気づいてもらう」

人間は、基本的に自分にしか興味が向いていません。

「他人の悩みには的確なアドバイスができるのに、自分が悩むと泥沼にハマる」なんてことはあるある事例ですが、これも「他者という客観的な存在だからこそ冷静に問題を分析できる」からに他なりません。

また、相手に好感触をもってもらうテクニックとして、「質問をして相手にしゃべってもらう」というものがありますが、これも「自分の話をしているときが一番楽しい」という人間本来の気質を利用しています。

このように、人間は、基本的に自分にしか矢印が向いていない生き物。

だからこそ、頼み事のスタート地点は、「私は、困っているんです」ということを知ってもらうフェーズになります。

そして、ここで大切なのは「察してもらおうとしない」こと。

日本はハイコンテクスト文化と呼ばれ、「言わなくても分かってほしい」という期待が強い社会です。

しかし、どれだけ仲の良い相手であっても、心の中は見えません。

ある研究によれば、親しいカップルでさえ、相手の感情を正確に読み取れる確率は58%程度(Stinson & Ickes, 1992)に過ぎないと報告されています。

つまり、「察してくれるはず」は幻想です。

まずは「困っていますよ」という状態を、言葉で伝える覚悟をもつことから始ましょう。


【STEP②】「助けてほしいと主張する」

最初に余談となりますが、コミュ障の私でも、それなりに人助けした経験はあります。

それと同時に思い通りにいかなかった経験もあります。

例えば、妊婦さんだと思って席を譲ったのにもかかわらず、妊婦さんではなかったという大変失礼なやり取りをしてしまいました。

振り絞った勇気が宙を舞い、いたたまれなくなった私は、目的地でもない駅に下車。

今でも冷や汗が出るほろ苦い思い出です。

きっと、周囲の人は、助けてあげたい気持ちはあっても、「この人は困っているのだろうか」「余計な気を回して断られて気まずくなりたくない」みたいな不安な気持ちから身動きが取れない可能性もあるでしょう。

これは心理学的にも裏付けられています。

1968年、社会心理学者のジョン・ダーリーとビブ・ラタネが行った有名な「傍観者実験」では、

参加者を一人にした状態で助けを求める声を聞かせると85%が助けに向かうのに対し、他に複数の人がいると分かる状況ではその割合が31%まで激減した

ことが確認されています。

人間の残念な特性として、周りに人がいるほど「自分でなくてもいい」「誰かがやるだろう」という責任の分散が起き、結果として誰も助けない状態が生まれてしまうのです。

だからこそ、堂々と「私は困っているのです」という主張をして、他者からの手助けを受け入れる体勢があると分かりやすくする必要があるのです。

その”分かりやすさ”が何を示しているかというと、紛れもなく「手伝ってもらえませんか?」という一言

助けを求めるためのポイントは、

「誰か助けて!」ではなく、「あなたに助けてほしい」と、サポーターを特定して伝える

ということです。

先の傍観者実験でも、集団の中の誰か一人に目線を向けて「あなた、助けてください」と伝えると、助けてもらえる確率が劇的に上がることが確認されています。

「だれか手の空いている人おねがーい」と中途半端に任せるよりも、「あなたにお願いしたい!」と言われた方が、頼まれた方も頼られている感が高まりますからね。

【STEP③】「具体的な内容を伝える」

あなたが助けてほしい状態であることを伝えたら、あとはYES or NOの審判を仰ぐのみ。

ちなみに、NOであっても自分を責めたり後悔したり、ましてや相手を蔑んだりしてはいけません。

断られた時の捉え方として、「断った相手に対して、自分が頼りにしていることを伝えることができた」と、メンタル回復を図ることがおすすめ。

事実、自分が頼りにしていない人には、頼み事なんてしませんよね。

裏を返せば、「頼み事をした」ということは、相手に対して「あなたを信頼している」「あなたのスキルを高く買っている」というプラスの情報を伝えることと同義。

断られたことをいちいち嘆くのではなく、「相手に対してプラスの印象を伝える機会になった」と捉えましょう。

さて、YESを引き出すためのポイントですが、頼み事の内容を具体的に伝えることが大切です。

  • 困っている内容
  • かかる時間
  • 自分ができること
  • 相手に求めること

このような具体を示すことで、相手にとっては「それくらいなら……」とイメージしてもらうことにつながります。

心理学の世界では、これを「コスト評価のしやすさ」と呼びます。

人間は、要求が曖昧なほどリスクを大きく見積もる傾向があります。

逆に、具体的であればあるほど「このくらいなら大丈夫そう」と判断でき、承諾率が上がるのです。

もちろん「時間には限りがある」ことや「相手も忙しいであろう」ことはマナーとして意識した上で、「それでもあなたの力を貸してほしい」という頼み方ができるよう心がけましょう。


【まとめ】上手に頼れる自分が、人間関係を育てる

頼み事の3ステップを整理するとこうなります。

  1. 困っていることに気づいてもらう(察してもらう期待を手放す)
  2. 「あなたに」助けてほしいと主張する(傍観者効果を意識的に回避する)
  3. 具体的な内容を伝える(相手がYESと言いやすい環境をつくる)

誰しも頼み事のハードルがあることは間違いないでしょう。

だからこそ、「頼み事ができた」という事実は、あなたと相手の関係性において特別な意味を持ちます。

頼むことは、甘えではなく、人間関係を育てる行為なのです。

「ちょっと、力を貸してくれませんか」その一言が、思いがけず誰かとの関係を深める、最初の一歩になるかもしれません。

ぜひぜひ、挑戦してみてくださいね。

📘参考本
#人に頼む技術

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