人間は基本的に自信過剰な生き物です。
それは、運転技術とか授業力だけでなく、「相手の気持ち」でも同じ。
本記事では、相手の気持ちを想像して「あの子って〇〇なところあるから。」と簡単に分かったつもりになると危険だよーという内容をまとめております。
引き合いに出した実験は大人を対象にしていますが、構造は一緒なので、一読あれ。
「共感力」を発揮するために必要な能力とは?
教師だけでなく、人間関係を充実させたいのであれば必須なのが「共感力」。
ただ、共感力って扱いにくいところがあって、時と場合、状況や環境によって発揮できたりできなかったりする。

さらに、共感力と言われても目に見えないから分かりにくい。
そんな問題を解決するため、テキサス大学の心理学研究者だったウィリアム・イックスは、「どれだけお互いの心を読み取れるか」という指標で、「共感力」を数値化してくれたのです。
その研究で分かったことが、
「人間は、相手の心を読むのが超絶下手」
ということでした。
どれくらい下手かというと、完璧に読み切った人を100点として、共感力の平均は22点だったとか。
最高点の人でさえ55点だったということですから、「自分、結構相手の気持ちが分かるんですよ」と思っている人は、もう一度考え直した方が良いかもしれません。
ただ、共感力の精度を上げる方法も存在します。
それが、「好奇心」。

相手のことを知りたいという思いの継続により、対象となった相手の気持ちを読む精度がだんだんと上がってくる。
これは、察する力というよりは、情報交換による知識蓄積による判断力の向上です。
だから、初対面だと相手の情報が少なすぎるため、コミュニケーションにおいて地雷を踏む可能性が高くなる。
しかし、情報交換を重ねるうちに、相手の言動の意図が分かるようになり、結果、「考えていることが分かる!!」という状態に達するのです。
阿吽の呼吸なんて言われますが、さすがに初対面では無理でしょう。
長年の経験値によって、より少ない情報で正しい判断ができるからこそ、阿吽が成り立つのです。
分かったつもりにご注意を①
共感力を発揮するためには、相手との情報交換は必須なのですが、油断は禁物です。
というのも、人間の趣味・嗜好は、永遠に同じとも限らない。
要するに、相手の情報は、常にアップデートしていかないと、いつの間にか気持ちがすれ違っていた…なんて結果につながりかねません。
カップルを対象にした実験では、
「付き合い始めの数か月から数年の間は、お互いの気持ちを読む精度が高いが、付き合いが長くなるほど精度が落ちる」
なんて残念な結果も出ているようですから。
長年連れ添うと、それまでの情報の蓄積からショートカットで相手の気持ちを判断してしまいがち。
ただ、相手が(自分も含め)変化しているという可能性をふくめなければ、古い情報に基づいていつまでも判断していることになる。
そりゃあ、「昔は良かった」になりますよね。
やはり、良好な関係性を維持したいのであれば、「現在の相手」に好奇心を発揮する必要がありそうです。
分かったつもりにご注意を②
人間関係の充実には好奇心が不可欠なのですが、高い共感力を発揮しすぎたことによる失敗にも注意しましょう。
それは、「相手に合わせすぎる」という失敗。
相手の気持ちが分かるからこそ、自分が求められている判断が分かる。
しかし、常に相手の判断通りにしておけば良いってもんじゃないのが、人間関係の難しいところなのです。
イックス曰く、
「高い共感力を発揮し続けるためには、お互いの好みを知らないままか、それに合わせようとしない人たち」
だそう。
どうやら、「分かったつもり」も問題ですが、「分かり過ぎ」もやりにくいみたい。
あえて共感力を発揮しないってこと?
そんなことしたら対立しちゃうんじゃ?
と、若干の心配がありますが、多くの研究で、「相手との対立は悪いことばかりじゃない」ということが確認されています。
もちろん、大切にしたい人との対立は気持ちが良いものではありません。
ただ、大切な関係を長期間続けたいのであれば、
「相手に合わせすぎるのではなく、自分はどのような考え方の人間なのかを伝えた方が良い」
のだそう。
ひたすら気を遣い、自分を押し殺してきてしまった僕には、かなりショッキングな調査結果ですが、確かにと思う点は多々あり。
人間関係の深まりにピンチはつきものですからね。
最悪の状態に対して、お互いに取り乱し、紆余曲折しながらも何とか乗り切った経験は、相手の顔色を窺って波風立てずに進んできた旅路よりもパートナーとしての意識を高めてくれるのです。
▼まとめ
本記事では、「人間関係の充実には、好奇心と波風が必要だよ」という内容をまとめました。
もちろん、全ての人間に対して有効だとは限りません。
こちらが好奇心をもっていても、強風や大波に飲まれ、ゴールまでたどり着けない関係性もあるでしょう。
ただ、一人の人間が心から大切にできる人間の数には限りがありますから、自分の周囲にいる人全員と分かり合おうなんて無理な話。
(もちろん、あえて対立する必要はありません)
ただ、自分の心の支えとなってくれる人には、同じように共感力を発揮したいもの。
ぜひとも、常に情報のアップデートを心がけ、どんな大波も乗りこなしてくださいね。
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