私たち人間は、自信過剰がデフォルトになっています。
運転技術を問われたアンケートでは、「私は一般的なドライバーよりも、運転技術がイケてる!」と回答する人が7割を超えてくるなんて調査もありますからね。
クイズ番組やスポーツ観戦をしていて「自分ならもっとできるのにー」なんて無責任なことを思ってしまうのも仕方がない。
ただ、そんな自信過剰をそのままにしておくとよろしくないのは想像できますよね。
本記事では、「自信過剰のデメリット」を確認しつつ、自信過剰を打破するスキルである「知的謙遜」の大切さについてさくっとまとめました。
長く短い人生において確実に役立つ内容となっております。
自信過剰のデメリット
私たち人間の自信過剰は、もはやどうしようもない部分もあります。
「楽観的な性格の方が人生における幸福度が高い」なんてのも確認されていますから、「なんで自分はできないんだ…」と責める位なら、根拠のない自信を頼りにした方が良いのかもしれません。
しかし、自分自身の能力向上を目指すのであれば過信しすぎない工夫が必要。
その方法としておすすめなのが、
「自分は自分自身について正しい評価を下せているのかい?」
と、問いかけることを習慣化すること。
いわゆる、「自己対話」ってやつ。
この自己対話というテクニックを身に付けると、こんなデメリットを打破できます。
1.学習機会の喪失:
自分が全てを知っていると思い込み、新しい情報や異なる視点を受け入れる機会を逃す。
2.対人関係への悪影響:
過度の自信による他者の軽視や批判的な態度により、人間関係を損なう。
3.判断ミス:
自己の能力や判断の過大評価による重大な判断ミスの増加。
4.フィードバックの無視:
建設的な批判やフィードバックを無視し、個人の成長や改善の機会を失う。
自信過剰によって失うものは、人間関係から成長機会まで幅広いですよね。
だからこそ、「自己対話」による精度の高い自己評価を心がけてみましょう。
「自己対話」については、こんな記事もぜひ👇
https://note.com/embed/notes/n3676440ed3e9
ちなみに、自分自信を正しく評価しようと努めることは、常に「自分の実力不足と向き合うこと」でもあります。
理想が大きいほど、現実の自分が小さく見えてしまう時もあるでしょう。
先にも触れましたが、「自分の実力不足を責める」ということは、デメリットしかありません。
自分を責めたとしても能力は向上しませんからね。
自信を失いかけたときには、「まだ、できないだけ」と自分に可能性を残したり、「今の自分が取り組むこと」に焦点化するような期待値調整が必要になります。
要するに「謙虚になりつつ、メンタルを崩さないようなバランス」を取る必要があるのです。
メンタル安定については、こちらの記事を読んでみてください👇
https://note.com/embed/notes/nfb3fd9873614
知的謙遜のメリット
自信感情のヤバさを知ったところで、未来に向かってより自分の能力を伸ばしていくために必須の能力である「知的謙遜」について解説します。
知的謙遜とは、
「自分の知識や能力の限界を認識し、他者の意見や新しい情報に対して開かれた態度をもつこと」
を指します。
これは単なる謙虚さとは異なり、自己の認知的限界を理解し、常に学ぶ姿勢をもち続けることを意味します。
まさに、成長を続ける人にとって必須のスキルと言えるでしょう。
では、そんな知的謙遜によって、どのような恩恵を受けられるのかを見ていきましょう。
①学習意欲の向上
知的謙遜スキルをもつ人は、自分の知識不足を素直に認めることができます。
ということは、その知識不足を埋めるために、より積極的に学ぼうとするでしょう。
このような態度は、間違いなく個人の成長と発展につながります。
②他者からの信頼獲得
自分の限界を認め、他者の意見を尊重する姿勢は、周囲からの信頼を得やすくすることも知的謙遜のメリット。
自信過剰になると偏ったプライドが発生して、「知らない」とか「できない」ことを認められないこともあるでしょう。
これでは、人間関係や職場での協力関係においてマイナスです。
様々な研究において、「人間関係を深めるためには助けを求めることが大切」と確かめられていますからね。
時には弱みを見せたりアドバイスを求めたりすることも必要なのです。
③柔軟な思考の促進
知的謙遜は、固定観念にとらわれず、新しい視点や解決策を受け入れる柔軟性をもたらします。
「絶対に自分のアイデアが正しい!!」なんて思っていては、チャンスを逃すことは予想されますよね。
やはり、「もっとより良くしたい!」「他の可能性があるかもしれないなー」という知的謙遜が、創造性や問題解決能力の向上につながるのです。
【コラム】ウルトラマラソンの意外な優勝者
1983年4月のオーストラリア。
11人のランナーがシドニーからメルボルンまで約875キロを走るウルトラマラソンに向け、ウォーミングアップをしていました。
ほとんどの選手がウルトラマラソン本番に向け、数か月間に渡るトレーニングを積み、中には企業スポンサーやサポートチームがついた選手もいたのです。
この記念すべき第1回大会で優勝したのは、スポンサーやサポートチームがついた選手ではなく、クリフ・ヤングという牧場主でした。
クリフは、すり足のようなピッチ走法でスタートした時には、誰も彼の優勝を予想しませんでした。
しかし、クリフは、2位の選手に10時間近い差をつけて優勝したのです。
彼が優勝できた理由は、単純で「他の選手たちよりも極端に眠らなかったこと」でした。
当時、「18時間くらい走ったら6時間は睡眠をとる」というのが定石。
しかし、そんな当たり前を知らないクリフは、寝ずに羊たちを追い回すという自身の経験値に従い、とにかく睡眠時間を取らずに走ったのです。
クリフは柔軟な思考を働かせた訳ではありませんが、誰もが「当たり前」と信じているルールも、もう一度考え直すことによって、より良い新しい方法が見つかるかもしれませんよね。
より良い意思決定
当然のことながら、万物を全て理解することは不可能なのです。
だからこそ、自分とは違った知識や価値観をもった人たちとの協力が必要になる訳で。
そんな”当たり前”も忘れがちになってしまう私たちだからこそ、自分の知識の限界を理解することが大切。
すると、より慎重に情報を収集し、多角的な視点から意思決定を検討するでしょう。
そんな態度がより良い意志決定につながるのです。
知的謙遜 実践のヒント
ここまで、知的謙遜をごり押ししてきた訳ですが、最後に日常生活においてさくっと実践できる方法を紹介します。
①積極的な傾聴
「傾聴」といえば、最近至るところで言われます。
それほどホットな話題となるだけあり、「傾聴」というのは、人間関係構築や自己成長にもつながる万能スキル。
もはやメリットしかありません。
ただ、言うほど簡単ではないことも事実。
試しに、会話のラリーをストップウォッチで計測してみると、「意外と自分が主導権を握ってしゃべっているな…」なんて気づきが得られるでしょう。
だからこそ、意識をして他者の意見に耳を傾け、理解しようと努める必要があるのです。
そんな「傾聴」が自然と実践できるようになることは、知的謙遜スキルを発揮しているとも言えるのです。
②「分からない」と認める勇気
「分からない」と認めることも知的謙遜を発揮することに他なりません。
何気なく会話をしていて「〇〇って知ってる?」と問われた時、それほど詳しくないにも関わらず「知ってる知ってる!!」なんて言い張った経験ありませんか?
また、それほど調べてもいないのに全てが分かった気になってしまっていませんか?
このような知ったか状態を調べたおもしろい実験があります。
まず、実験参加者に「〇〇について何%くらい理解していますか?」と問います。
そして、いくつか質問をして、再度「〇〇について何%理解していますか?」と問いかけたところ、
なんてことが知られています。
これは、「具体的な質問に応じたことで、『理解していなかった』ということに気づく」という現象。
私たちが生きている世界ってそれほど単純ではありませんものね。
「分からない」という状態に引け目を感じる必要なんてないのです。
「もっと学ぶ必要がある!」という成長意欲として捉えましょう。
③多様な意見の尊重
知的謙遜スキルを発揮するためには、「自分一人では限界がある」と知ることからスタートします。
一人でできることの限界を感じれば、「大きな目標を達成するためには、他者との協力が必須である」と認めることができるでしょう。
そんな境地に達すれば、「自分と異なる意見や自分と違った視点を尊重しよう」という気持ちが高まるはず。
当然のことながら、チーム内に自分と同じスキルをもった仲間ばかり集まってしまっては、問題解決の糸口を掴むことが難しくなります。
スキルや価値観、文化の違いがある多様な人物が集まってこそできる問題解決があるのです。
そんなことを意識して、所属するグループや仲間集めに取り組むことをおすすめします。
まとめ
本記事では、「知的謙遜を発揮して自己成長につなげよう」という内容をまとめました。
自信過剰のデメリットを認識し、知的謙遜の姿勢を培うことで、より豊かな人生と健全な人間関係を築くことができるでしょう。
ある調査では、
なんてことが分かっています。
世界の複雑さに触れると、「単純に決めつけることなんてできない」という知的謙遜が身につきます。
ただ、「まだ知らないことがたくさんある」という気づきは、私たちが生きるこの世界を深掘りする前向きな理由ともなり得ます。
知的謙遜から生まれた好奇心は、まさしく生きる糧となりますからね。
ぜひぜひ、謙虚さと好奇心をもち続け、追究し続けましょう。
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