人生は、判断の連続です。
人間は、一日に35000回も判断していると言われていますからね。
そもそも判断ビジーである人間なのですが、先生という仕事は、多種多様な子どもたちとの関りの中で洪水のように押し寄せる判断が求められる。
などなど。
そりゃあ、些細な気持ちのすれ違いも生まれてきますよ。
全ての判断において、的確に相手のニーズに応えるなんて至難の業。
ただ、大人同士ならまだしも、先生と子どもという関係性では、「仕方がない。」で終わりできない部分が違います。
先生という仕事は、子どもの可能性を伸ばすためにありますから、先生の判断ミスによって子どもに不利益を与えることは知っておく必要があるでしょう。
そんな不利益の際たるものが、「共感されない」というものでしょう。
先生に必要な能力は複数あれど、子どもへの共感力は欠かせませんからね。
しかし、先生の状態によって共感力が働かなくなる時もあるのが事実。
ということで、本記事では、「どんな時に共感力が働かないのか?」というところをまとめました。
ただ、知っていれば100%防ぐことができるというものでもないところが難しい。
しかし、全く知らないよりは、対策も取れるかと思いますので、頭の隅に留めておいてくださいね。
先生の共感力が働かない時
まずは、先生の共感力が働かない状況を見ていきましょう。
外せないのが次の2つ。
・興奮している時
・「時間がない」と感じている時
で、ございます。
共感力が働かない興奮状態
アンガーマネジメントなんて研修も盛んに行われていますが、やはり人間は、興奮状態に陥ると相手の気持ちに寄り添うことなんてできません。
怒り狂った後、「言いすぎちゃったな。」なんて反省したことはありませんか?
反省したにも関わらず、また同じ反省を繰り返しているなんてこと、ありません?
興奮状態に陥ると、言動だけでなく行動も必要以上に粗暴化するのが怖いところ。
スポーツ選手なんて、このギリギリを責めている職業かもしれません。
特に、身体的接触があるスポーツは、ルール無視の乱闘合戦になることもありますよね。
そんな血の気が多い選手も、普段は穏やかな人物だなんてことはあるある。
何が彼らを暴力沙汰に引き込んだかというと、まさに「興奮(怒り)」という感情なのです。
もはや時代は令和ですから、先生界で暴力を容認している人はいないでしょうが、学校生活の中で「カッとなる」、いわゆる興奮状態に陥ってしまうことはゼロではないでしょう。
多種多様な子どもたちがいますから、全員が先生に話しかけるタイミングを計れる訳ではありません。
たまたま興奮状態にいる先生に対して話しかけてしまい、思った対応が返ってこないなんて悲しい思いをさせてしまう可能性があります。
興奮状態の扱い方は、注意が必要ですね。
複数対応の良し悪し
アンガーマネジメントとして、「複数対応」が挙げられます。
「子どもと一対一だと、先生が冷静になれないかも」という懸念はありますよね。
確かに、めちゃくちゃ激高していても、「別の先生から声をかけられる」とか「電話がかかってくる」みたいな物理的な切り替えが挟まれると一瞬にして怒りが治まり、いつも通りの対応ができるもの。
ということは、私たちが感じる怒りという興奮状態は、一時的なものであり、「怒り」という感情を自分で選び取って実行しているということ。
逆にいうと、「怒り」という行動を選ばなければ、怒らなくて済むのです。
といえども、「思考は情動の奴隷」といわれるくらい生き物は感情優位にできていますから、「二人で対応する」みたいな事前対策が有効であることは間違いありません。
しかし、条件によっては、二人だからこそ問題を悪化させてしまうこともあるのです。
その条件とは、こんな感じ。
・互いに激高タイプ
・上司と部下のような権力差
「複数対応」というのは、激高しやすい性格を他人という社会性をもって抑え込むことができる場合に機能します。
しかし、揃った人たちがみんな激高しやすい人だと、互いに刺激し合ってどこまでも怒り狂ってしまう可能性があるので注意です。
ちなみにアメリカの警察は、パトロール時に敢えて一人対応にするなんて作戦を使っているとか。
#第1感
「一人対応だと事件に遭遇しても闇雲に踏み込んで行かないから」というのがその理由。
警察官が二人揃っていると、自分たちで何とかしようと無茶をしてしまうなんてことがあるのです。
ブレーキの利かない世代と知られる思春期の若者も、複数の友達といる時の方が法を破りやすいという特性がありますからね。
ペアとなるべき人間関係は間違えたくないものです。
さらに、「権力差」というのも判断ミスにつながります。
有無を言わさずについて来いタイプの上司だと、部下は物申しにくいもの。
「やりすぎだよな」と感じていても傍観を決め込むなんて事態にならないよう、普段から風通しの良い関係性を築くのが必要です。
共感力が働かない「時間ロスト」感覚
「時間がない」という感覚を抱えている先生も共感力が働かないことが知られています。
「研究授業や出張といった普段とは違ったスケジュールの日ほど子どもたち関連のトラブルが起きる」なんてこと経験ありませんか?
もちろん要因は一つではないでしょう。
しかし、先生の「時間がない」という感覚によって引き起こされた何気ない言動や仕草によって子どもたちが落ち着かなくなっている可能性は捨てきれません。
人間は時間の余裕がなくなると、周囲の事象に対して偏った判断をするようになるという特性があります。
当然のことながら子どもたちの人間関係は複雑怪奇。
トラブルを解決するには、冷静かつ客観的に話を聞いていくしかありません。
しかし、自分自身に時間の余裕がないと、
「またこの子がトラブルを起こしたんだな。」
「それ位自分たちで解決できるでしょう。」
という決めつけ(ステレオタイプ)対応になり、表面的な対応では分からないような奥底に潜んでいる子どものニーズまではたどり着けない可能性があるのです。
その場しのぎの対応をした結果、そのトラブルが引き金となってさらなる問題に発展していく可能性もあります。
先生たちは非常に多忙なので常に余白をもって行動することの難しさは分かります。
しかし、「時間がない」と感じている時ほど相手の気持ちを察することができないことは知っておきましょう。
表面的な判断は役に立たない?
ここまで共感力が働かない場面を2つ見てきました。
大切なことは、「状況によって共感力が働かない場面がある」と知っておくことなのですが、私たち人間はどうしても瞬間的な判断に頼ってしまうところがあるのも事実。
冒頭で、人間は一日に35000回の判断をすると書きましたが、その判断全てにおいて熟考していてはとても全ての判断を遂行することができません。
だからこそ、私たちの脳は、判断のショートカット機能を使って「良さそうだな」という判断を瞬時に行っていくのです。
そのような瞬時の判断は、もちろんミスることもあり。
例えば、イケメン・美女の方が「仕事ができる」と見られやすいなんていう実験もありますからね。
全く事前情報のない選挙において「誰が当選するか?」という予想をすると、見た目が整っている人ほど人気になるなんて報告もあります。
しかも、予想した本人たちは、「自分が当選する人を見た目で判断しているなんてとんでもない!!」と自覚がなかったとか。
詳しくはこちら
➢見た目の科学(作成中)
バスケを対象に経済学者が調べた調査も興味深い。
ある3人の経済学者が、得点、アシスト、リバウンド、ターンオーバーなどなど、バスケに必要な要素を組み合わせてチームへの貢献度を算出する方法を考案したのです。
その複雑な方程式に当てはめてみると、オールスターに選出されるような人気選手が平凡な点数に終わったとか。
反対に世間から注目されず、敢えて取り上げられない選手のチーム貢献度が高かったなんて結果になったのです。
バスケといえば、金に物を言わせて得点力の高い選手をかき集めたチームもいましたね。
単純に考えれば、得点力の高い選手を集めて相手以上に得点すれば負けないと思いがちですが、優勝争いにも食い込めないという平凡な結果に終わってしまいました。
やはり、見た目やプレースタイルなど、派手な選手は人気になりがちですが、チームに結果をもたらすのは、目立つプレーだけではないのです。
心に留め、見た目に翻弄されないようにしたいものです。
見た目よりも行動を見よ!!
「見た目で判断しがち」という話を書いてきましたが、「だったらどうやって判断したらいいの?」というのは気になるところ。
様々な方法はありますが、結局、相手を知ろうと努力することは欠かせないのです。
さらに、相手の評価は、相手と自分の関係性(もちろん、その時の気分にもよる)によって変化しますから、相手を「〇〇な人」と決めつけること自体に意味がないのかもしれません。
ただ、チームを組んでプロジェクトにチャレンジするといった状況になれば、無関心を貫き通すことはできない。
そんな時に役立つ方法は、
というのが役立ちます。
「言うは易く行うは難し」と言いますが、人間の人間らしい課題は、高い理想をもっていても、理想に近づくための努力(行動)はできないというところ。
結局、理想を現実に変えるためには、地道な努力を継続するしかないのです。
そんな成功法則を体現するのは、「行動」しかありません。
だからこそ、高みを目指す仲間として相手を見定める状況に追い込まれたのなら、対象となる相手の考え方を知った上で、「どのような行動をしているのか?」をチェックすることで判断できます。
やはり、「言葉」と「行動」が揃っている人ほど、結果を残す可能性が高くなりますからね。
ちなみに、世の中には、関わっただけで不利益を被るヤバいヤツもいますので、上手に距離を取りましょう。

終わりに
本記事では、人間関係において非常に大切な「共感力」について、「状況によっては働かない時があるよ」という内容から「見た目で判断しないように」というおまけの情報をまとめました。
人間の幸福度は、人間関係によって大きく変わってきます。
先生と子どもという関係性では、先生の言動が子どもたちに大きな影響を与えるでしょう。
いつも心に余裕をもち、子どもたちの思いに寄り添うことで、きっとその子ども自身も、優しさのバトンを渡してくれるはずです。
コメント