人間は誰しも好奇心をもって生まれてきます。
それは生きる術。
「知らないを知りたいに変えたい!」という思いが、知識の獲得につながり、よりよく生きていくための手段となりますからね。
好奇心レベルが高い方が、「勉強ができる」とか「年収が高くなる」といった傾向も確認されていますから、見過ごす訳にはいきません。
しかし、残念なことに誰もが好奇心をもち続けられるとは限りません。
好奇心が強い・弱いと表現するように、もって生まれた好奇心が大人になるにつれてしぼんでいくのがどうやらお決まりルートみたい。
その原因は、複数あるとしても「環境要因」は、大きな影響を与えます。
例えば、学校のような場所にうまく馴染むことができるという能力は、自分の好奇心をうまく飼いならしているとも言える。
もちろん、人間は社会性重視の生き物ですから、「学級」とか「学校」という単位で共に手を取り合って高めていくところによさがあります。
『好奇心は「個性」ではなく「状態」である』と言われるように、「学校」という過程において、個人的な好奇心よりも他の視点を優先することで、好奇心駆動型の生き方から距離を置くのかもしれません。
まぁ、よりよい人間関係は、人生の幸福度を大きく左右するので、ある意味正しい選択をしているとも考えられますが。
ただ、「勉強が楽しみ!!」というあの純粋な好奇心を失わせてしまうのはもったいない。
だからこそ、先生側のサポートを受けつつ、個人的な好奇心を多様な仲間たちと共有しながら刺激を与え合って伸ばしていけるような学校でありたいものですよね。
そんな願いを実現するために知っておきたいのが「好奇心タイプ」。
どうやら好奇心というものは、「どれくらいあるか?」というよりも、「どのような好奇心があるか」という視点の方が重要なんじゃないかという議論が出てきているのです。
当然のことながら、興味・関心というのは人によって違います。
ということは、学校で展開される様々な授業においても、食いついてくる・こないという違いが生まれても当然なのです。
じゃあ、勉強しないという選択がありなのか?と問われたらそれは否。
展開される教材や学習方法を細かく分析して「その子」が食いついてくるポイントを何とかして提供したいものです。
「生き物が好き」といった分かりやすい好奇心刺激ポイントだけでなく、「調べることが好き」とか「イラストにまとめることが得意」といった、方法に即した好奇心刺激ポイントもありますからね。
そんな好奇心刺激ポイントを見極めるために役立つ5つの好奇心タイプを次章にて紹介します。
好奇心5つのタイプ
人生の幸福度や自らのスキルを伸ばすために「好奇心」は欠かせません。
なんせ好奇心によって、
・知性の向上
・忍耐力の向上
・心身の活力向上
と、何でもありのいいことだらけ。
ぜひとも身に着けたい力なのです。
しかしながら、個人の好奇心レベルは、小さい頃の親子関係にかなり影響されるみたい。
ただ、諦めてはいけません。
その気さえあれば、好奇心レベルは高めることができると知られています。
その高めかたは別記事にまとめるとして、本記事は、好奇心のもっとそもそもの部分を深ぼっていきたい。

性格は十人十色ですから、好奇心だって違いがあってもおかしくない。
実際に調査した、ジョージ・メイソン大学のトッド・B・カシュダン教授らの研究によると、「好奇心は5つに分けられそう」ということが見えてきたのです。
この好奇心タイプを知っておくと、子どもたちへのサポート方法だけでなく自分の人生の幸福度アップにつながるでしょう。
ぜひとも、チェックリストを使って調べてみてくださいね。
【5つの好奇心タイプが分かる25の質問】
次の項目に7段階で答えてください。
1:まったく当てはまらない
2:少しだけ当てはまる
3:ある程度は当てはまる
4:どちらともいえない
5:かなり当てはまる
6:ほぼ当てはまる
7:100%当てはまる
1.やっかいな概念問題について夜通し考えていられる。
2.答えが分かるまで諦めない性格なので、一つの課題について何時間でも考えていられる。
3.解決策が見つからないとイライラするため、何としても解こうと努力する。
4.「解決しなくては」と思った課題に徹底的に取り組む。
5.必要な情報がすべて揃わないと満足できない。
6.困難な状況を成長や学習の機会と見なしている。
7.自分の価値観が問われるような経験を絶えず探している。
8.何か深く考えなくてはならない状況を追い求めている。
9.よく知らないテーマについて学ぶのが好き。
10.新しい情報を知るのは、素晴らしいことだと思う。
11.他人の癖や習慣を知りたい。
12.他者の行動の理由を探りたいと思う。
13.他人同士の会話の中身に興味がある。
14.そばにいる人たちの話に聞き耳を立てたくなる。
15.ケンカが起きると、その内容が気になって仕方ない。
16.少しでも不安がある場合、未知の経験は避ける。
17.不確実な状況に身を置くストレスに対処できない。
18.自信が持てない時は、知らない場所に行くことができない。
19.大丈夫という確信ができないと挑戦できない。
20.予定外のことが起きる可能性があると思うと気持ちを集中できない。
21.新たな挑戦に伴う不安は、興奮や生きがいにつながる。
22.リスクに血が騒ぐ。
23.休日にはヒヤッとする経験がしたい。
24.計画を立てた旅行よりも、行き当たりばったりの方が楽しい。
25.友人は気まぐれで奇想天外な方がいい。
結果発表
25の質問、お疲れさまでした。
では、気になる結果発表。
このテストでは、かたまりごとに平均スコアを計算します。
ただ、16~20の質問に対しては、
1→7
2→6
3→5
というように、値を逆にして計算してください。
その平均スコアの高低によって、次の5つの好奇心の高低が判断できます。
(平均スコアいくつ以上がよい・悪いではなく、自分の中の強弱で判断しましょう)
・テスト1~5の平均スコア→欠落感タイプ
・テスト6~10の平均スコア→心躍る探究タイプ
・テスト11~15の平均スコア→社会性タイプ
・テスト16~20の平均スコア→ストレス耐性タイプ
・テスト21~25の平均スコア→好リスクタイプ
では、この5つの好奇心にどのような特徴があるのかをさくっと解説します。

知識の隙間を埋めたい「欠落感」タイプ
欠落感タイプとは、
という気づきが好奇心を刺激する好奇心の正統派。
本来であれば、この複雑な世界において全てを理解したという全知全能はあり得ません。
しかし、人間というポジティブ生物は、対象の一部分を切り取って、「もう知らないことは何もない!!」という勘違いをしがちという特徴があります。
大人になればなるほど、この傾向は高まってしまう。
しかし、この欠落感タイプの人は、新しい知識を獲得したとしても「自分には、まだ知らないことがあるはず。」という前提に立ち、「知らない部分を知りたい!!」という欲求のもと、学びを続けることができるのです。
「知らない」という知識の隙間を埋めようと猛然と努力できるというよさもありますね。
純粋に好きを求める「心躍る探究」タイプ
心躍る探求タイプとは、
という欲求によって働く好奇心のこと。
先ほども触れましたが、私たちの世界には、まだまだ未知が溢れており、ちっぽけな一人の人間が全てを理解することなどできません。
さらに、日常生活の解像度を上げると、知らないことを知るチャンスや、経験したことがないことに挑戦できるチャンスに溢れています。
そのようなチャンスに対して積極的に飛びつき、自分の興味・関心に従って経験値を増やしていくことができるのがこの心躍る探究タイプの特徴。
「おもしろそう!!」と思ったら即行動!!している人は、きっと、この心躍る探究タイプでしょう。
とにかく人間が気になる「社会性」タイプ
社会性タイプとは、
という好奇心タイプ。
・あの人は、なぜ、あんなことを言うのだろう?
・あの人の行動は、どのような意図があるのだろう?
などなど、他者の言動・態度に対して興味津々という特徴があります。
学校や職場という集団関係において、ありとあらゆる手段を使って情報を集め、人間関係の構造を理解することが得意分野。
興味・関心が人間に向くことから、親切、寛容、控えめといった性格特性もあるようです。
少しのことでは動じない「ストレス耐性」タイプ
ストレス耐性タイプは、
ということに長けたタイプのこと。
好奇心は、未知のことに対して積極的に関わろうとする態度を喚起するのですが、「未知のこと」って、基本的には、ストレスにつながるのです。
・見ず知らずの他人
・食べたことがない食材
・経験のない仕事
これらに相対した時、わくわくもある反面、不安とか心配な気持ちになりますよね。
変化を嫌うのが人間の本質ですから、未知を既知に変化させるプロセスは、それなりのストレス。
しかし、そんなストレス要因にも動じることなく、新しいものや珍しいものに対する不安を受け入れて自分の人生に生かしていこうという好奇心に長けた人が、このストレス耐性タイプ。
このタイプの人がもつ特徴として、
・自分には能力がある
・自分は自立している
・自分は居場所がある
という欲求が満たされている傾向があるとか。
このような心理的安全の基盤を武器として、積極的に未知と関わっていくことができるのでしょう。
スリル満点「好リスク」タイプ
好リスクタイプは、
という欲求に従って行動するタイプのこと。
強烈な刺激から受ける高揚感を求めて好奇心が発揮されます。
ちょっと危険なのは、高揚感を得るためなら、物理的、社会的、金銭的リスクを厭わないという特徴があること。
このタイプの人にとって、未知から受ける不安や心配は、むしろ歓迎されるべきもの。
このように受け取ると、非常に逞しく思えますが、危険なことや取り返しのつかない事に対しても「やりたい!!」という好奇心が勝ってしまうところは、注意しなくてはなりません。

以上が、5つの好奇心タイプになります。
もちろん、人間は複雑な生き物ですから、これらの好奇心タイプが混ざっているのが普通。
ただ、自分の好奇心タイプの強弱を知っておくことで、人生において次から次へと訪れる選択場面でも、より望ましい方向を選ぶことができるでしょう。
また、先生や親といったサポート側の方も、ただ「好奇心を発揮してほしい。」と願うのではなく、どのような好奇心タイプをもっているのかを関わりの中から判断することで、もち合わせた好奇心を刺激することができるはず。
好奇心は、個性ではなく状態ですからね。
少しでも参考になりましたら幸いです。
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