勉強、スポーツなど、上達するには長期的な努力が必要ですよね。
そのためには、「自制心」が必須。
もちろん、どれだけの自制心が働くかは個人の資質にもよりますが、ただ、そんな自制心を外側からサポートできるとしたらどうでしょう。
そうです、目の前の子どもが自分の自制心を存分に発揮して取り組むためには、あなたの「称賛」が役立つのです。
あなたの称賛は、子どもの「誇り」につながり、自分を誇る態度を取る子どもは、そうでない子どもよりも自分を制御して努力を継続することができる。
褒めることが大切というのは、子育て界では基本のキ。
ただ、その褒め方にも流儀があるのです。
そんな内容をまとめましたので、ご覧ください。
誇りと自制心のつながり
まずは、誇りと自制心のつながりから整理しておきましょう。
ここで大切なのは、「自分を誇る気持ちが高まると自制心も高まる」ということ。
そのカラクリはと言いますと、
自分を誇る気持ちが、短期的なメリットに終わってしまう短期的な報酬を避け、長期的な意味で価値のある選択をするのに役立つ
というところにあります。
例えば、「なるべく楽をしたい」「ストレスなんか嫌」というデフォルトの判断を抑え、「そうは言ってもやらないと!!だって自分は〇〇だから!!」と、自分を誇る気持ちを盾として進むことができるのです。
ここら辺の建付けを明らかにしてくれたのは、デイヴィッド・デステノ氏たち。
→なぜ「やる気」は長続きしないのか
同氏は、視覚空間能力を調べるという名目で実験参加者を集めました。
面倒なテストをこなしてもらった後、一旦、研究者と面談をして2回目のテストに臨んでもらったのです。
この研究者との面談の際、次のような仕掛けが隠されていました。
①研究者から「これは!!すごい結果だ!!」と褒められる
②一般の人よりもすごいという結果だけ渡される(特に称賛はされない)
③普通の結果が渡される
このような刺激を受けた後、2回目のテストに臨むのですが、視覚空間能力などという能力に全く関心のない参加者ですから、とにかくモチベーションが低いのです。
ただ、①の刺激を受けた参加者だけは違いました。
なんと、
というのです。
ちょっと気になるのは、「他者よりも優れている」という結果をもらった②の人たち。
自分の能力に誇りをもちそうなものですが、実験の結果は、③の人たちと変わらなかったと。
ここから分かることは、「他者よりもできる!!」といういわゆる自己効力感だけでは、誇りのスイッチを押すことはできないということ。
誇りの力を高め、自制心を発揮するためには、先生のような第3者からの称賛が必要なのです。
称賛の流儀
褒めることの効果は絶大であることは分かっていただいたと思います。
コストもかかりませんから子どもの力を引き出すためにこれ以上優れた手立てはないでしょう。
そんな称賛ですが、やり方によっては「信頼関係の低下」とか「モチベーション破壊」、につながってしまう可能性あり。
例えば、みんなができて当たり前のことを褒めたとしましょう。
当然のことながら褒められた方としては、「そんな特別なことした?」という気持ちになるでしょう。
結果、肝心な時に称賛する効果を下げてしまうことにつながります。
要するに称賛は、
のような場面で真の効果を発揮するのです。
マインドセットで有名なキャロル・ドゥエックも、
100点を取ったとか試験に合格したという「成果」を褒めるより、そのような結果に至るまでの「努力」を褒めるべし!!
と、教えてくださっています。
→マインドセット「やればできる!」の研究
あるあるなNG称賛として、
というものがあります。
このような褒め方は、うがった捉え方をすれば、
という成果主義思考に陥ってしまう可能性があるからです。
完璧主義と言い換えてもよいでしょうが、人間は全てにおいて完璧なパフォーマンスを維持するなんて不可能。
しかし、「頭がいい私でいないと。」と頑張ってしまう子どもほど、
なんてネガティブにつながってしまうと言われています。
反対に「努力すれば自分の能力は上がるんだ!!」という柔軟なマインドセットを持っている子どもは、失敗したとしてもそれを糧にして伸びていくことができるでしょう。
先生の仕事は子どもの成長をサポートすること。
その手立てとしての称賛は、子どもの成長に少なからず影響を与えるのでしょう。

2つのモチベーション
前段では、マインドセットについて説明しましたが、「モチベーション」について知っておくのもムダではありません。
モチベーションには、「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の2種類があることは広く知られているでしょう。
外発的動機が「やらされている」という感覚で、内発的動機が「進んでやっている」ということ。
もちろん、何事に対しても内発的動機付けで動いている人の方が、成果は出やすくなります。
「やりたいからやっている」という感覚は、誰にも止めることはできませんから、上達するのも頷けます。
本来であれば、子どもは好奇心の塊であり、内発的動機でしか行動していなかったはずなのに、歳を重ねる事に外発的動機付けをしないと動かなくなっていく。
勉強なんて最たるものですよね。
カリキュラムや時間制限のようなリソースに限界がある教育機関で集団で学ぶ子どもたちですから、仕方のない面も多々あると思うのですが、そうは言ってもモチベーションを失ってほしくない。
ということで、絶対にやってはいけないことをメモ。
それは、
ということ。
スタンフォード大学の心理学者である、マーク・レッパーが行った有名な実験で、
お絵描きを楽しんでいる幼稚園児に報酬を渡す
というものがあります。
最初は、楽しいから描いている子どもに、
①絵を描いたら金のシールをあげようと事前告知
②絵を描いている子どもに金のシールをあげるが事前告知はなし
③ご褒美なし
の3つのグループに分けて調査したのです。
結果、
②③のグループは、数日後もお絵描きを楽しむ姿が見られたが、①のグループだけ明らかに絵を描く時間が少なくなった
というのです。
やはり、単純に楽しいからやっていることに報酬が絡んでくると、報酬が目的となり、純粋な動機を砕いてしまうことのよりモチベーションを下げてしまうのでしょう。
サポートする側としては、忘れないようにしたいものですね。
コメント