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メタ認知強者が勉強できる理由

どうやら、「メタ認知強者=勉強ができる」の構図は確からしいのです。

それどころか、スポーツや仕事での活躍にも大きく関わってくるとか。

しかし、メタ認知レベルを引き上げるにはそれなりの意図的練習が必要になり、子どもたちにはメタ認知的思考を教えてあげる必要があるのです。

本記事では、「メタ認知獲得をどのようにサポートしていったの良いのか?」についてオハイオ州立大学のピントリッチ先生らの研究をもとに、先生視点でまとめてみました。

【メタ認知って何だ?】

学習におけるメタ認知とは、「自分自身の認知についての認識」と言えます。

学習を深める上で重要であることは古くからある考え方で、ソクラテスの問答法から、「実際の経験よりも経験を振り返ることでより多くの学びがある」というデューイまで遡ることができるみたい。

「メタ認知」という言葉は、発達心理学者のジョン・フラベルが1970年代の出版物で提唱したもので、メタ認知に関する研究は、過去40年に及びます。

この前提を踏まえた上で教育界では、学習者が「自分自身の認知についての認識する機会を提供すること」と、「自分の認知の癖に応じて学習が進められるような環境設定をすること」が大切だよーという方向で議論が進んでいるとか。

【自分の認知を認識すると何がいいの?】

 メタ認知強者が勉強や仕事で成功する理由を乱暴にまとめると、「自分の認知特性が分かる」ということでしょう。もっと簡単に言うと、「自分の強みと課題が分かる」ということ。

そんな自分自身への理解が深まると、こんな良いことがあります。

 ・モチベーションが高まる。

 ・課題解決への見通しが立ちやすい。

 ・取り組み方を工夫しやすい。

 ・力を発揮するための環境を選びやすい。

 このようなメリットがありますから、勉強ができるようになるのはもはや必然。

仕事に関して言うと、「仕事の満足度は、給料よりも自分らしさが発揮できていること」に寄与するので、数多の選択肢から「自分に合った仕事」「自分に合った働き方」を選ぶというスタートの難しさ見事クリアできるでしょう。

【学校・先生にできること】

人生をよりよく生き抜くためのツールとしてメタ認知は少しでも高めておきたいもの。

特にこれからの未来を切り開いていく子どもたちには是非とも獲得してほしい。

ということで、学校という特殊な環境で先生にできることをまとめました。

<自分自信について知る機会の提供>

 メタ認知は、自分を知ることから始まります。

「好き・嫌い」とか「得意・不得意」といった自分への認知があるから、「自分にあった取り組み方」を考えることができますよね。

 また、「知っていること・知らないこと」を認知しているから学習の計画を立てることができます。

 ピントリッチ曰く、

教材を完全に理解した‼︎と思っている子どもほど次のテストに向けて勉強をしないだろう

と。

どうやら、自己認識の欠如は学習の制約にすらなってしまいそうです。

だからこそ、テストや発表会といった学校ならではのイベントをスモールゴールとして、メタ認知を発揮する機会を設定するのは、先生という仕事だからこそできることと言えそうです。

<適切なフィードバック>

 ピントリッチ曰く、

「(子どもを慮って)誇張されたフィードバックによって不正確な自己認識を持つよりも、自分の知識基盤と判断を持つことの方がはるかに重要である

としています。

 子どもの自尊心を誇張するよりも、正確に自分自身を評価できる支援の方が大切だということ。

 ちなみに、ピントリッチによると、フィードバックをする環境も大切とか。

「大規模な公開グループではなく、よりプライベート(先生と1対1)な環境で、具体物(自分の作品)をもとに自己評価情報を共有することで自己認識を深めていくことができる‼」と主張しているのでお試しあれ。

 先生は、賞賛マエストロですから子どもを手にとるように喜ばせることができるでしょう。

ただ、学習に関しては適切さも必要なのかもしれません。

マインドセット研究のキャロル・ドゥエックも、「できない理由は、あなたの努力が足りないからでしょう?」と現実を突きつけてあげることも大切と言っていましたしね。
#マインドセット「やればできる!」の研究

 ただ、信頼関係が崩れると正確なフィードバックをしたところでつながらない…なんて悲しい事態が発生するかもなので注意です。

<複数の取り組みかたの提示(明示化)>

 問題解決の戦略が1つしかないのは、それこそ問題です。

 戦略が多いほど、問題に対して様々な角度からチャレンジできますからね。

 ピントリッチ曰く、

さまざまな学習戦略を知っている子どもほど、勉強をするときにそれらを使用する可能性が高くなる

とか。

要するに、試行錯誤することが大切ってこと。

戦略を増やすには、問題解決が上手くいかなかったという経験は必須。

自分の戦略が上手くいかないからこそ、新しい戦略を獲得する必要性が出てきます。

ただ、難しいのは、みんながみんな失敗を糧としてチャレンジし続けるメンタリティーをもっているとは限りません。

だからこそ、ゴールへの道のりを複数提示し、「自分に合った解決方法はどれ?」と選択する機会を提供することで、「解決方法って1つじゃないんだなぁ」ってことを教えることができますよね。

<取り組み方のシェア(ディスカッション)>

 メタ認知戦略を増やす方法として、子どもたちが自分の戦略をシェアし合うという方法も考えられます。

 「課題をどのように進めたのか」「困った時には、こうしたら解決しました」みたいな情報をみんなでシェアすると、子どもたちの戦略を増やすことができるでしょう。

<モデル化>

先生が実際に思考過程を説明しながら問題を解いてみることもメタ認知を教える上で効果的みたい。

問題を解くときって、頭の中で思考しながら取り組みますよね。

その思考過程をぶつぶつと敢えてつぶやいてみる。

先生の解き方をつぶやきと共にシェアすることにより、子どもたちに新しい戦略として伝えることができるでしょう。

教材を教える時って、基本的に先生の方が子どもたちよりも知識や戦略をもっているでしょう。

だからこそ、問題に対して先生自身がどのようなアプローチを取り、どのような思考過程で解決していくかを共有することもメタ認知的知識の獲得に一役買ってくれるのです。

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